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比較的に地味な分野ではありますが、メンテナンスの良否は、オーナーの利益に直結すると同時に、入居者の満足感にも大きく影響を与えます。
(A) メンテナンスとは
1)メンテナンスの意義と目的
プロパティ・マネジメントには、収入を上げるという側面と、コストを下げるという側面の両面があります。そのトータルの結果がNOIですが、NOIを上げるためにはコストを下げなければいけません。
しかしメンテナンス・コストを切り詰めすぎて、建物が陳腐化してしまっては、入居者に不人気となるばかりでなく、建物の寿命も短くなって「虻蜂取らず」の結果を招きます。
したがって、意義と目的を以下の2点に集約してメンテナンス業務に取り組むべきだ、と私は考えています。
(I)入居者の安全性・快適性を高めること
(II)資産の保全
2)メンテナンスの種類
メンテナンスは、以下のような種類に分けることができます。
(I)日常的なメンテナンス
(II)不定期・緊急的メンテナンス
(III)予防的メンテナンス
(IV)長期的メンテナンス
(B) 法定点検
マンションは、建築基準法でエレベーターや換気設備などを点検し、報告することが義務付けられており、消防設備(消防法)、給水設備(水道法)、電気工作物(電気事業法)などについても点検・報告の義務があります。
これら行政の取り決めに従って行う点検を「法定点検」といいます。
法定点検は、次のように大きく6つに分かれています。
1>特殊建築物等定期調査報告
2>建築設備定期検査報告
3>エレベーター保守点検
4>消防設備点検
5>貯水槽点検・清掃
6>電気設備点検
(C) 日常的な建物管理業務
物件は日頃の清掃を心がけ、設備の適切な点検・維持管理をしてはじめて正常な機能を発揮します。
そのためには、日常的な建物管理業務を行う必要があります。
1)排水管・排水機器点検・清掃業務
流し台・洗面所・洗濯機・浴室から出される生活廃水を排水する管が雑排水管、トイレの洗浄水を排水する管が汚水排水管です。
雑排水管および汚水排水管は、屋外で専用の桝(マス)に接続され埋設された管を通ってマンホールから公共の下水道へ放流されます。
排水設備の目的は使用場所から排水した水を速やかに排除し、水使用を行う場所の衛生と水使用機器の機能・衛生を確保することにあります。
排水設備を正常に維持し衛生管理を保持するには排水管・排水機器の点検と清掃を行うことが欠かせないものになっています。
2)設備巡回点検業務
(I)給水関係
給水設備の性能を維持し正常に作動させるとともに、衛生状態等の確認のために以下の箇所を点検します。
・給水ポンプ ・水中ポンプ ・高置水槽と受水槽 ・配管類 ・動力盤
(II)排水関係
・排水マス・雨水マス・ドレン ・雨樋 ・排水ポンプ
(III)共用照明機器の点検・調整
・照明灯 ・照明灯の点灯・消灯(自動方式)機器
(IV)自動ドア関係保守点検
(V)風紀関係
美観を保ちモラルの低下を防ぎます。
3)管理員業務
管理員の勤務形態は、以下の3つに大別されます。
(I)住み込み方式 (II)通勤方式 (III)巡回方式
4)清掃業務
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(I)日常清掃
日常的に清掃員を派遣して清掃を行う業務をいいます。訪問回数が多いほど望ましいのですが、コスト抑制の観点から管理員が業務を兼任する場合も多いようです。
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(II)定期清掃
日常清掃では除去しきない汚れ等を、特殊技術や機械を用いることで定期的に除去する清掃業務です。以下は、定期清掃の一例です。
・エントランスホール・共用廊下・共用階段の床ポリッシャー洗浄・ワックス塗布、もしくはデッキブラシでの洗浄、乾燥仕上げ
・ガラス用洗剤塗布、スクイジーによる水切り、乾燥仕上げ
・メッキ部分の磨き
・各居室横のパイプスペース扉等の拭き掃除
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5)植栽管理業務
(I)剪定
(II)除草
(III)散水
(IV)病害虫防除
(V)施肥
(D) 不定期・緊急的な建物管理業務
不定期あるいは緊急的な建物管理業務は、「入居者からのクレームに対応する」という形で発生するケースが多いといえるでしょう。
ここでは、その代表的な例をあげるにとどめます。
1)共用部
放置しておくと被害もコストも拡大することがありますので、早め早めのメンテナンスを心がけることが必要です。また、緊急性のあるものか中・長期で考えるものかの判断が大切です。
・管球切れ ・停電 ・テレビの映りが悪い ・断水 ・漏水 ・植栽 ・ポスト ・エレベーター ・オートロック ・消防設備
・ガラス ・ゴミ
2)専有部
最も大切なのは「素早い対応」です。給湯器やエアコンなどのハードクレームの場合は、各メーカーの型番などを事前にしっかり記録し準備しておくことが、対応の素早さと正確さにつながります。
専有部に対応する緊急出動経費は、入居者負担になる場合があります
・漏水 ・詰まり ・ブレーカー落ち ・エアコン ・給湯器 ・照明 ・建具 ・ガス ・騒音 ・ガラス
(E) 長期修繕計画
1)長期修繕計画とは?
今日では、アパート・マンション事業に関わる人以外でも、「長期修繕計画」という言葉が広く知られるようになってきました。
しかし、意外にもその意味をきちんと定義づけた法令はどこにもありません。
別のいい方をすれば、その意味するところが各人により様々であり、かなり曖昧な概念であるともいえます。
そこで私は、長期修繕計画を次のように定義したいと思います。
長期修繕計画」とは……
『主に共用部分を対象として、いつ頃、何を、どのように、いくらぐらいかけて直すのか、むこう20〜35年程度を予測して作成していくもの』
2)長期修繕計画作成の目的
長期修繕計画をつくる目的は、「安心で快適なマンション生活を維持していくこと」であり、そのためには適時に適切な修繕が不可欠であり、時期や費用をあらかじめオーナーと管理会社間で合意の上で準備し、円滑に修繕を実施することが有効であると考えられます。
つまり、精緻な長期修繕計画書を作成し、それを根拠としてオーナーにその時分に必要な資金を準備していただかなければ、急に必要資金を調達するのは困難であるということです。
また、長期修繕計画により、壊れた箇所を場当たり的に直すのではなく、予防的に計画修繕を実施したほうが、大局でみれば合理的であることも、その作成の大きな理由となります。
3)長期修繕計画の構成要素
長期修繕計画を構成する要素は、次の3つです。
(I)修繕時期(修繕周期)
(II)修繕部位(修繕項目)
(III)修繕費用
4)長期修繕計画のつくり方
(I)修繕項目(部位)のピックアップ
(II)修繕周期と時期の設定
(III)修繕方法の設定
(IV)修繕費用の算定
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